事例ケーススタディ
複数事業を行う会社が目を向けなかった低収益事業がダントツ黒字化した理由
経常利益率は5%→20%超に!事業責任者の処遇 昇格、賞与は従来より数カ月分増加へ!

多くの事業群を抱える会社は割と多くあります。
リスクヘッジのために種類の異なる事業を複数手がけている場合や、本業を横展開してスピンアウトさせ機能ごとに別事業になっているようなものです。
弊社にお問い合わせがあるのが、このような複数の事業を抱える会社で、そもそも「負けている事業」を「ブランディング」でV字回復したい、というものです。
ブランディングでV字回復は非常に多くありますし、弊社は「経営に計数成果を出すブランディング」ですから、顧客がそのように考えるのはもちろんです。
ところが、実は、ブランディングより先にやることがある場面も多いのです。
しかも根本的な「基盤直し」が。
ブランディングより先にやることがある、根本的な「基盤直し」

さて、今回取り上げる会社は「あるBtoCサービス」を行っていました。
しかも都心の一等地で。
一等地にあるにも関わらず利用者が少なく、しかも低収益でした。
根本的な理由は経営者が複数の事業を営んでいることで多忙であり、「片手間」でやっていたことでした。
ただし、片手間でも安定的な収益を得ている会社もありますし、片手間=生産性が高い事業を行うことに成功している会社もあります。
ところが、この会社は、何故儲からないかは、長年に渡って誰も分からなかったのです。
低収益の事業。こう聞くと、まず考えられるのが「料金」=プライシングが間違っているのでは?と考えます。
そこで我々は料金戦略を見直しました。

ところが料金改定をしてリスタートをきっても、何の変化も現れなかったのです。
そこで根本原因は価格政策ではないと判断し、近隣のターゲットユーザー層に簡易的なリサーチを実施してみたのです。
このリサーチは定量的な結果を獲得する形ではなく、定性的なものを獲得する形をとりました。
同時にブランディングチームが入るより先に、業務改革チームが以下のアクションを実行しました。
- KPIマネジメントシステムの導入
- 事業責任者(ビジネスオーナーシップ)を任命
- 担当者へのインセンティブシステムの導入
- 業務改革のPDCAサイクル
- 新規顧客獲得のための認知度向上(ブランディング)アクション
結果的にどうなったのでしょうか?
- 物理的に、これ以上顧客に対応できないほどのサービスとなった
- ダントツな黒字化を実現した
- 新たに任命された事業責任者は、収益向上に向けてのアイディアを矢継ぎ早に打ち出し、優秀な事業責任者に成長することができた。
- 顧客満足度は飛躍的に改善した。
- 事業責任者の賞与も導入されたインセンティブシステムによって大幅に増加した。
つまり、顧客、会社、事業責任者の3者がWIN/WIN/WINとなったのです。
上述のアクションについて、実際に何をやったのか気になる方もいらっしゃるでしょう。一部ご紹介いたします。
1.KPIマネジメントシステムの導入
戦略的なKPIやエクセルベースの管理会計を設計し、ガラス張り経営を導入した。同時に数字教育を行い、問題を数字で分析し、数字で語れるようになった。
2.事業責任者を新たに任命
経理一筋だった経理課長を事業責任者(兼務)として任命した。これによって、経営責任体制が明確となり、本気モードでの経営改革が始まった。
3.インセンティブシステムの導入
複数のKPIの総合達成度とボーナスとをリンクさせる仕組みを構築し、どのような数字を出せばボーナスがどのように増えるのかを見える化した。成果が金銭的にリアルに評価されるのでモチベーションは非常に高まった。
4.PDCAサイクルの推進
さまざまな改善仮説を事業責任者が考え、それを実行したらKPIがどのように変化したかを毎月繰り返し検証した。
5.リサーチ
漫画的に業績改善したきっかけはリサーチの結果から導き出されたアクションでした。まったく認知されていないことや、しかも「あるレッテル」を貼られていたことはこの会社にとってショックであり、まずは潜在顧客の認識を改めてもらうための活動(ブランディング)を行って行ったのです。
たったこれだけのことで成果が翌月から出始め、半年後にはこれ以上顧客に対応できないほどのフル稼働となりました。
その結果、P/Lは劇的に改善しましたが、儲かったキャッシュをため込むだけではなく、さらにBtoCサービス品質に磨きをかけるべく設備投資も実施していきました。
その後、業革運動は2年実施し、初年度で構造的変化を実現し、2年目は主にCS面の改善に注力しました。
自社の本質的な問題点を把握することは非常に難しい

自社だけで、自社の本質的な問題点を把握することは非常に難しいことです。
この会社は、弊社が行った市場調査の結果を知るまで、数十年間に渡って問題の本質が分からなく低収益で悩んでいました。
ホワイトカラーの生産性について、有名な話があります。
“分かる人は一瞬で分かるが、分からない人は永遠に分からない。”
つまりホワイトカラーの生産性は無限大の違いがあり、分からない人はどれだけ悩んでも会議を繰り返しても答えは見つからないのです。
“タイム イズ マネー”とも言いますが、
1年悩んで分からなかったら素直に外部の声を聞いてみるのが良いと思います。

業績が低迷している企業では事業責任者を変えてみるのも一手です。
この会社のオーナーは面白い人で、経理一筋の社員に向かって、「君、経営者やってみるか?」と声をかけたのは大正解でした。たまたま声をかけたのではなく、日頃の仕事ぶりを見ていて判断したのだと思います。
当初は役員や経営幹部から“ど素人”と白い目で見られていましたが、逃げることなく変革に挑み、劇的なP/L改善も実現し、年収も大幅にアップしました。
企業の成長には、30代、40代の中堅社員にチャンスを与え、鍛えながら選抜していく人財成長ターボエンジンが必要と考えますが、これはまさしく業革運動そのものなのです。
経理課長は業革運動に参加することによって、経理課長から事業責任者へと人財価値を大幅に高めることができました。
計数成果
このような会社に最適
- “経営計画を毎年作るものの、いつも未達に終わる”、“さまざまなプロジェクトをやってもいつも失敗する”傾向がある成熟企業。
- BtoC型企業であるにもかかわらず、顧客の声を把握する仕組みやノウハウを持っていない企業。