AI活用 コラム

AIだけでは動かない「人の心」をブランディングで動かす方法

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なぜ最新のAIでも「買いたい」という気持ちは作れないのか

ChatGPTをはじめとする生成AIの進化により、魅力的なコピーもデザインも、マーケティング戦略も瞬時に生成できるようになりました。確かに制作効率は劇的に向上し、多くの企業がAIの恩恵を受けています。

しかし、ここで見落としてはならない重要な事実があります。ブランドは「作っただけ」では動かないということです。

人の行動を決めるのは「脳の反応」

どれほど優れたAIが完璧な提案を生成しても、最終的に商品やサービスの購入を決定するのは人間の脳です。

私たちが「買いたい」と感じる瞬間を思い返してみてください。論理的にスペックを比較検討した結果でしょうか。それとも、なんとなく「これがいい」と感じた直感的な判断でしょうか。実は、人間の購買行動の大部分は感情によって左右されています。

脳科学の研究によると、私たちの行動の90%以上は無意識・習慣・第一印象によって決まります。これらはすべて、理性的な判断よりも先に脳が下す感情的な反応なのです。

AIが生み出す「正しいけれど響かない」コンテンツ

現在のAIは、文法的に正しく、論理的に整合性のとれたコンテンツを大量生成できます。しかし、「正しいから刺さる」わけではありません。

例えば、AIが生成する商品説明は機能や特徴を漏れなく網羅します。しかし、その商品を使うことで得られる「体験」や「感情の変化」、「なぜこの商品が生まれたのか」という背景ストーリーまでは表現しきれません。

人は商品を買うのではなく、その商品がもたらす「未来の自分」を買っています。この深層心理に響くメッセージは、データ分析だけでは作り出せないのです。

脳科学をAIに融合させる新しいアプローチ

AIの限界を理解した上で適切に活用すれば、これまでにない強力なブランディングが可能になります。重要なのは、人間の意思決定メカニズムを深く理解し、その知見をAIに正しく反映させることです。

脳科学の研究から、「どのような順番で情報を提示すれば記憶に残りやすいか」「どんな言葉の選択が信頼感を生むか」「どういう物語構造が行動を促すか」といった法則がわかっています。これらをAIのプロンプトに組み込むことで、単なる情報生成ツールを「人の心を動かすツール」に変化させることができます。

また、効果的なブランディングには感情的な訴求と論理的な根拠の絶妙なバランスが必要です。どのタイミングで感情に訴え、どの段階で論理的な説明を加えるか。この戦略的な設計にこそ、人間の経験と洞察が不可欠なのです。

設計思想がすべてを決める

AIが普及した今だからこそ、「人間をどこまで深く理解しているか」が企業の差別化要因となります。プロンプトの巧拙ではなく、その背後にある設計思想。そして設計思想の根底にある、人間の意思決定メカニズムへの洞察。

ここに、AIを活用した真のブランディングの可能性があるのです。


企業ブランディングにおけるAI活用でお悩みの方、または脳科学に基づくブランディング手法について詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。25年間で培った人間心理への洞察と最新のAI技術を組み合わせた、新しいブランディングの可能性を一緒に探ってみませんか。

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著者・文責 (Author / Responsible for the text)

平松誠一 (Seiichi Hiramatsu)

NTTドコモ出身。在籍時は一貫して広告宣伝・マーケティングに携わる。 1996年NTTドコモを退社。独立後の現在、企業ブランディング支援会社の株式会社ベレネッツの代表取締役。
ドコモ時代は、その潤沢な広告予算で業界TOPを突き進むことができると思っていたところ、はるかに広告投資額の少ないNCC(新たに参入してきた携帯電話、ポケットベル業者)にボロ負けし、その結果から「これからの時代、ブランドの支持を得るには押し込むようなPUSH的戦術やマス媒体での広告戦術は効果なし」との認識を持つ。
以降はこれらの手法を反面教師とし、「引き寄せる」+「再現性のある」ブランディング+マーケティング事業に25年間以上携わっている。
重要なことは、ブランディングはロゴを作ったり、イメージチェンジをすることではなく、ターゲット層に刺さる認識を構築することだと考える。

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