実はブランディングをやりたい、という会社は少数なのです。 ブランディングの「先にある何らかの目的(例:特定のターゲット層に製品認知をさせたい)」の達成のためというのがほとんどです。
あなたの会社がブランディング活動を行いたい、と考えた目的はなんですか?
まずは明確にしてください。
通常、その多くが「認知度向上のため」「知名度向上のため」というものです。
自社の事業活動や、取扱い製品の情報の説明だけでは、その先のターゲット・消費者に刺さらず、ブランディングが現状の困った状況の打開に使える可能性に気付いて取り組もうとする、という会社が多いのです。
ブランディングの目的とは?
まず最初に知っておくべき事は、あなたのブランドをどのようにすることが、ブランディングの目的になるか、ということです。
目的でよく挙がるのが・・
- 存在に気づいてもらう
- 愛着を持ってもらう
- 特定の連想を見込み客にしてもらう
- 記憶してもらう
- 価格競争に陥らない状態にする
- 特定のポジショニングを想起させる
- ライバルと識別してもらう
- 社名や商品名・サービス名ではない関連ワードで連想してもらう
- 見込み客に期待感を持たせる
- 社会的に欠かせない会社だという認知をしてもらう
これらは社外向けですが、社内向けであれば
- 従業員に誇りを持ってもらう
- 求心力を作る
- 求職者に魅力を感じてもらう
- モチベーションを上げる
- 従業員が辞めない会社になる
- 事業ドメインがぶれることなく別事業に挑戦できる
などがあります。
ブランディングを行うとメリットばかりで、夢のような世界が開けるイメージがあります。
確かにうまく行えば成功は見えています。
しかも、広告のように短期間だけ効果が継続するものではなく、ずっと「利子」のようにメリットを享受できるのです。
ところが、単に「良い会社に見せるようにしよう」という、行動が伴わないイメージ戦略だけだと、こんな状態になってしまうのです。
人々はブランドを疑っているという事実
社名を連呼して、有名タレントに歌わせたり踊らせたりすれば、人々にブランド認知される、というのは大間違いです。
(BtoB企業のCMでは非常に多いですね。求人対策の手法だと思います)
あなたの会社も含めて(弊社もそうですが)、顧客によく思われたり、よく見えるようにしたい、と思っているはずです。
顧客に期待され、愛着をもってもらうために、あらゆるコミュニケーションをとろうとします。「意図的なコミュニケーション」と呼びます。
これらの行為自体は悪いことではありません。
ところが、このような意図的なコミュニケーションは、一昔前に比べるとその信憑性に人々の関心がいくようになっています。
なぜなら、今やメディアやブランドに対して信頼が失われているのです。
ネットを見れば本当の情報と見まがうようなフェイクニュースの嵐。
素晴らしいブランドの見本のようなCEOが逮捕される。。
近いところでは、毎日来るあなた宛のメール。数多くのセールスメールのほとんどが「このサービスは唯一無二です」「このサービスは顧客に圧倒的評価をされています」などと自己絶賛の嵐。
いまや何を信じてよいか分からない世界になっているからこそ、二重基準(2つの顔を持つ)を疑っているのです。
スターバックスの例:
誰もが素晴らしいブランドだと認識しているコーヒーチェーン「スターバックス」
雑学としてもこのスターバックスが単においしい珈琲チェーンとしてだけではなく、「居心地のよいスペース」としてのブランド認知を図ったことはご存じかもしません。
もしくは、スタバを上場まで拡大させたシュルツCEOが退任後、2000年後半に創業以来はじめての赤字になり、閉店があいつぎ、結果としてシュルツが復帰、怒濤のごとく策を打ち、結果的に大復活したストーリーはご存じかもしれません。(2012年にテレビ東京のカンブリア宮殿にも登場しましたね)
当社でもブランド・エクイティ(ブランド資産)の事例ではよくお話ししています。
大成功から奈落の底へ、そして大復活。
誰でも知っているスターバックスはこんな感じでしょうか。
ここからが番外編です。
もう一度言います。今や盲目的にブランドを礼賛する時代ではないのです。
スタバでこんな事件が起こりました。
スターバックスはシュルツCEOが復帰したあとは、しっかりと業績が回復していました。ブランディング的には、さらに人々にブランドに対する共感を上げていきたいと考えるのは当たり前です。
全米的なキャンペーンの一環として、2015年に店内のコーヒーカップに「#Race Together」(全ての人種は共存しよう)と入れ、米国内で度々起こる人種問題について、議論を深めてもらおうという意図を発信しました。
出典:starbucks
2020年の全米で起こった黒人に対する暴力や人種差別撤廃を訴える「Black Lives Matter」は記憶に新しいところですが、2015年も白人警官と黒人の問題が起こっていたタイミングでした。
ブランド的には手本のようなすばらしい戦略です。
ところが、この#Race Togetherキャンペーンですが、不幸にも1週間で終了してしまったのです。
きっかけはこのTwitter。
「スタバが配った報道用写真には白人以外の手が写ってないことにみんな気づいたか?」
これが一気に拡散しました。
そうです。
ブランディングの目的は「よい会社っぽく見せよう」ではダメなのです。
(スターバックスがそう思っていたかは分かりませんが)
二重基準、不誠実、関連性のなさはあっという間に人々に見破られます。
ブランディングの目的が「いい感じに見せよう」というエセ・ブランディングでは絶対だめだということです。
【まとめ】あなたの会社にブランド戦略が必要な理由
さて、ここまで読んだ方は、ブランディングは「イメージではない」という理解ができたでしょう。「よく見せたい」という考え方でもないです。
ブランド戦略を行うことの利点は、あなたとあなたの顧客の両方に大きく影響します。
以下は、ブランド戦略に投資すべき目的のほんの一部ですが解説します。
- あなたのブランドが競合他社との差別化でき、見込み客に認知されやすくするため
- ブランド戦略は、マーケティング戦略にも影響を与えます。顧客を惹きつけるに十分な明確な目的を提供する
- 一貫性のあるブランド戦略を立てることで、顧客とより明確にコミュニケーションすることができる。メッセージの一貫性が高いほど、忠実な顧客を引き付けて維持する可能性が高くなる。
- 顧客に一貫性を提供するだけでなく、従業員にモチベーションと集中力を生み出す。
- 明確なブランド ビジョンは、全員が同じ目標に向かって取り組んでいることを確認するのに役立つ
- 強力なブランドは優秀な人材を引き付けるのに役立つ
一旦ブランド戦略を実行することによって、それが「資産」になれば、次々に上記の様なメリット=価値を生み出していくのです。
あたかも銀行に預けた預金から利子が生まれるような。
「目的」を実行するための組織構造
ブランディングと広告キャンペーンは異なります。
広告であれば担当者ベースで進んでいくものがほとんどで、その結果を検証するのが経営陣であったりします。
一方ブランディングは実行するチームだけではなく、全社的な巻き込みが必要です。
経営陣ばかりでなく、直接部門の営業担当や間接部門の総務や人事まで絡まなければならない経営戦略になります。
この考え方が希薄だと、単なる広告キャンペーンの一環として経営陣に考えられてしまい、中長期的な投資が行われないばかりか、全社的な動きができないので、当初考えた目的が達成できないままフェイドアウトしてしまう例も非常に多いです。
弊社の企業顧客でも、最初の段階で経営陣を巻き込めなかった(単に稟議を承認したのみ)ため、他の部門の連携がうまくいかず、失敗に終わってしまったこともあります。
あまりネガティブな事例を出してもいけないですが、経営陣の巻き込みができないことは致命的です。
さて、ここから徐々にブランディングの目的からテーマを移動させていきます。
ブランディングは誤解が多い、その理由
ブランディングにはあやふやな意味もあり、その言葉自体に誤解があります。
ブランディング=ロゴを変えたり、新しいCI(コーポレート・アイデンティティ)を作ったりすることだと考えられていることもあります。
見栄えを変えることであなたのビジネスが劇的に変わることはありません。
認知度向上・知名度向上を目的とするのであれば、潜在的な顧客層・消費者がまずあなたの「会社」「商品」「サービス」、もしくは何らかの「特色・特性・差別化要素など」に気付き、それがその顧客層の「解決につながる」ことを真っ先に理解できるようにすることなのです。
つまり、誰に、何を認識させるのか?
誰に何を信頼させるのか?
購入や、契約前から「顧客視点」で「体験価値」を見える化することがポイントになります。
ブランド・イメージと同じように見えますが、単体の言葉では全く異なるのです。
ブランディング戦略 BtoC編
例えば、ダイエットをしたい人がいるとします。
ここで、ダイエット商品を購入する時に、すぐにCMをたくさん出している会社を選びますか?
いえいえ、そのような動きはしません。
基本的には、まずは自分の現在の悩みや欲求を頭の中でリストアップします。
- 一刻も早く痩せたい
- でもカラダには負担のない方法で痩せたい
- 自分は飽き性なので、我慢しなくてもよいものがいい
- 無理な食事制限は仕事上・家庭上無理
このような条件のかけ算をしながら、「痩せたい」という目的に合致した商品を絞り込んで行くのです。
つまり、有名なものを選ぶわけでも、デザイン的に目立つものを選ぶわけでもなく、自分の条件に合致していると「思われる」商品に行き着くのです。
あらかじめ認知度向上をしておき、「あなたがこのような悩みを持っているのであれば、その解決はこれがベストです」という浸透こそ、成功するブランディングなのです。
潜在顧客が気付き、最初から会社像・商品・サービス像などを理解してもらう。 非常に重要なことです。
ブランディング戦略 BtoB編
対企業向けは昨今明らかにブランディングが重要になってきます。
(当社でも2021年の段階で2020年の200%のブランディングセミナー依頼やお申込みが増えております)
なぜなら、顧客企業の担当者は
- 商品知識もありブランドイメージに左右されない
- 主観的ではなく客観的に「合理的な判断」を下す
- 商品属性の優劣や最新の技術こそが商品価値という考えを持っている
- 調達コストにはシビア
などのように難敵です。
このような会社の担当者(BtoBと言っても結局企業の担当者の集合体です)が、選択の根拠とするのがやはり、今抱えている問題や悩みの「解消」「解決」ができる会社・商品・サービスであるかどうか、なのです。
購入予定者でもあれば、実際のユーザーでもあるのです。
BtoB顧客に信頼され、あなたの製品・サービス・会社の認識をさせるには、新幹線の駅に目立つ広告を出すことでもなく、ニュース番組にCMを打つことでもありません。
見込み客の問題の「解消」「解決」ができる会社・商品・サービスであるか、をあらかじめ浸透させる、もしくは悩みを持った企業担当者がネット検索したような時に、「解決できそう!」と思わせる仕組みがブランディングなのです。
これはリサーチ会社を使って調査分析すれば、出てくる、というものではなく、「顧客視点」に立って、ひたすら「掘り続けること」が重要なポイントになります。
ブランディング戦略で経営改善せよ!
会社の経営に関係あるような悩みがある場合、実はブランディングで解決できるのです。
【ブランディングで解決できる悩み】
- BtoB企業(対企業取引が中心の会社)なので一般顧客の認知度がない
- ずっと下請けが中心でどのように潜在顧客層にアピールするか分からない
- 価格・料金競争に巻き込まれている
- 外部から見て魅力が発信出来ていない
- ネット上で悪口が書かれている
- 広告の効果がない
- 社長及び経営陣の力で発展してきた企業で面として戦えない
- 新たな販売チャネルを作りたい
- 「よい会社だと思うのに」人材が集まらない
- 競合ばかりニュースに取り上げられる
- 経営コンサルタントが過去に入ったが何が変わったのか実感できない
- BtoB企業で既存顧客へのルート営業以外やったことがない
- 企業として価格以外の付加価値を上げなければ勝負できない
- ユーザに強みをアピールしても全く刺さらない
- IPO(新規上場)を目指しているので一般の認知度を高めたい
- 技術系の会社で、外に発信するのが得意ではない
- 自社のWEBサイトに書いてある文書の表現があいまいで、優位性などが全く浸透させることができない
これらはいずれも経営コンサルティングや広告分野のような話しに聞こえますが、実はブランディングで最も解決できる課題なのです。
強い成果の秘密は可視化とPDCA
見える化(脚本づくり)+脚本に沿った攻撃
ここまで読んでいただいた方は、あらゆる会社でブランディングが有効なことは分かっていただけたでしょう。
あなたの会社・商品・サービスが、潜在顧客の問題解決・悩み解消などにかなり効果的である、という気付きを与えること(見える化)がブランディングです。
弊社のブランディングの特色は、「見える化」=「脚本づくり」を行ったあとで、間髪を入れず非広告の手段でマーケティング(計数づくり)をすることです。
マーケティングを行うことで、必ず計数が現れます(認知度、売上、利益率、新規顧客獲得数・率、LTV、WEBサイトのアクセス数・滞在時間・直帰率・離脱率・CV、再訪問数、問合せ数、資料請求数etc)。
これらのデータを基に、さらに機会損失の解消をするのがマーケティングのPDCAなのです。
ブランディングで成果を出す企業
弊社の累計の企業顧客数は700社弱。
弊社の顧客企業の売上高は10億〜1.5兆円(計数効果が最も見えやすいのは数10億〜数100億くらい)。様々な業種の企業があります。
この中のブランディング顧客で劇的な成果をだしている企業が多くあります。
成果を出せる理由は、非広告ブランディング(ベネフィットの潜在顧客への見える化+そのネタを使った計数効果の出るマーケティング)を必ずセットで実行しているからです。
逆に言えば、今このサイトを読んでいる企業は認知度もしくはその他の経営課題で困っている事と思います。
その根本的な原因は、自社の持つベネフィット(提供価値)の見える化ができていないからだと考えます。
ブランディングの目的は、人々の心の中に自社のブランドに対する好ましいイメージや印象を植え付け、長期的な関係性を築くことです。ただし、単に「良い会社に見せる」ような表面的なイメージ戦略では不十分で、顧客視点に立ち、ブランドの本質的な価値を伝えていくことが重要です。
ブランディングを成功させるためには、以下のようなステップが必要です。
- 自社のブランドの独自性や強みを明確にする
- ターゲット顧客のニーズや悩みを深く理解する
- ブランドコンセプトやミッションを設定し、社内外で共有する
- 一貫性のあるブランドメッセージを発信し、顧客とのつながりを深める
- 従業員をブランドの体現者として巻き込み、組織全体でブランドを育成する
- SNSやウェブサイト、イベントなど、様々な接点でブランド体験を提供する
- ブランドの価値を高め、他社との差別化を図る
- PDCAサイクルを回し、ブランド戦略を継続的に改善していく
特に、インナーブランディングとアウターブランディングを連動させ、社内外の一体感を醸成することが大切です。社員一人ひとりがブランドの理念を理解し、自らの行動で体現できるよう、教育や環境づくりに注力しましょう。
また、デジタル時代においては、オウンドメディアやSNSを活用し、顧客との双方向のコミュニケーションを通じてブランド体験を深化させることも効果的です。ストーリー性のあるコンテンツや動画を発信し、ブランドの世界観を伝えていくのも良いでしょう。
ブランディングは一朝一夕では成し遂げられません。長期的な視点を持ち、一貫性のある取り組みを積み重ねていくことが求められます。経営陣から現場の社員まで、組織を挙げてブランド構築に努めることで、他社には真似のできない強固な「ブランド資産」を築いていけるはずです。
まとめ
- ブランディングは、自社の独自の価値を顧客に伝え、選ばれるブランドになるための重要な経営戦略
- ブランドの本質を捉え、顧客視点でベネフィットを訴求することが肝要
- 一貫性のあるメッセージ発信と、社内外の巻き込みによる組織的なブランド育成が鍵
- デジタルの活用により、ブランド体験を深化させ、エンゲージメントを高めることも有効
- ブランディングには継続的な取り組みと、PDCAサイクルによる改善が欠かせない
- 強いブランドを確立することで、競争優位性を発揮し、長期的な成長と利益を実現できる
ブランディングは、理念や価値観を体現し、人々の心を動かすことのできるパワフルな活動です。自社の強みを活かしつつ、時代の変化に合わせて柔軟に進化させていくことが求められます。ブランド構築に真摯に取り組むことで、人々から愛され、選び続けられるブランドへと成長を遂げていきましょう。