弊社事例ケーススタディ

BtoB専門商社の悪いクセ発見。赤字続きの本当の理由とは?

赤字が続いている会社にはどのような問題があるか想像できますか? 商材が魅力的ではない?営業が強くない?価格が高い?事業自体が古い?2代目社長がダメ? いえいえ、実は問題は「内部」にあることが多いのです。 しかも、あなたの会社でも思い当たるようなものが……。

  • 思い切った行動ができない
  • やることに徹底感がない
  • スピードが遅い

最大公約数ではこの3つなのです。

3つの要素をうまく解決したA社の成功事例

今回の例は、この3つの要素をうまく解決したBtoB系中堅専門商社の老舗A社は、銀行も驚く再成長に成功した事例をご紹介します。 弊社が入る前の状態をお伝えする前に、最終的にどのような会社になったのかに触れたいと思います。

最終的にどのような会社になったのか

以前は化石のような会社でしたが、人・組織・戦略などすべてが変わり、業界からも驚かれる「アグレッシブな会社」として再評価を受けるまでに生まれ変わりました。 業績面では

  1. 売上右肩下がりからのV字回復
  2. 赤字から黒字への転換
  3. 10数年ぶりの配当復活
  4. 社員の年収アップ

までをトータルで実現。 既存顧客に対しては、新しく戦略商材投入の投入や営業担当者からの提案力を高め、顧客満足度が大幅に改善し社会的価値が増大したのです。

最も変わったのは社員の戦闘力や社風で、結果的に顧客志向や行動スピードが大きく改善しました。 これが結果なのですが、以前の姿とは……

結果を出す以前の姿

人は誰しも新しいことを始めるには尻込みするものであり、行動できないことばかり。 また、弊社が先導する業革会議で次回までの行動目標を設定しているものの、宿題をやってこない人が多く、会議で言い訳に終始する人も多かったことが特徴でした。 さらに悪いことは、そもそもやる気すらない人や、何もやってないのにやっているようなフリをする人もいたのです。

役員や上司がいるにも関わらず自分達で決めて実行に移してもよいのかという戸惑いや自分達だけが頑張っても、一部の役員が抵抗勢力となり力を発揮できないことがありました。 また改革できる人と思って業革チームに入れたものの、チャレンジしない人もいて、他のメンバーが白けてしまうこともありました。 こんな会社、実際に存在したのです。 業績を上げることを放棄しているような気にすらなりました。 初期がこの惨状ですので、これらにより最初の数カ月は目立った変化は生まれてきませんでした。 社員を責めるだけであれば、誰でもできます。 それで動いてくれれば問題ないですから。 弊社は問題解決・機会損失解消手法を使います。 何が問題なのか課題なのかを徹底的に因数分解するのです。 弊社の事業ドメインは「非広告の手段で経営に計数成果をもたらすブランディング/マーケティング」。ここでマーケティングの課題解決手法が活きるのです。 ではどのようにV字回復まで持っていったか解説いたします。

どのようにV字回復まで持っていったか

第1フェーズ(経営分析)

解決すべき重要な問題点を探るために、総合的な経営分析を実施しました。

一連の分析で最も重要だったのは社員インタビューであり、対象者は管理職や役員は全員、一般社員は、以下の特性を持った人だけを対象に実施しました。

  • 優れた業績を出している
  • 意識が高い
  • ユニークなアイディアを持っている

これによって、会社が抱えている問題点を的確に把握するだけでなく、会社の業績を改善できそうな将来の幹部候補生を発掘できたのです。

第2フェーズ(業革運動)

将来の幹部候補生から構成される業革メンバーを選抜して社長直轄のチームを編成しました。 社長直轄にした目的は、保守抵抗派の役員・幹部からの雑音排除なのです。 業革チームで決定したことは社長の決定と同義であることを役員・幹部に宣言した上でスタートしました。

業革運動は、経営分析で得られたピンポイントの問題を解決するクロスファンクションなチームであり、営業マンの生産性アップ、戦略顧客の開発、新商材の開発などにフォーカスしてもらいました。

業革会議は月に2回開催し、PDCAサイクルを回すことがミッションとしてのマインドセットを設定したのです。 途中で宿題をやってこなかったり、ほとんど発言しない人に対してはイエローカードを数回出した上で、社長でも言わないような極めて厳しいことを指摘したり、それでも改善されない場合は、業革チームから外れてもらったこともありました。

同時に、社長に対しては役員・部課長クラスの人事案を提言し、業績を改善できる人で組織人事を段階的に固めていただきました。

結果的に幹部の人事は半分ぐらい入れ替わったのです。 ブランディング時でもそうですが、弊社は「徹底的に目的完遂のため」顧客企業の(籍を持たない)バーチャルチームとして活動します。 有名社長だろうが、一部上場企業だろうが、外資系だろうが全くひるみません。

この業革運動は3年間実施しました。

1年目は、化石のような組織に血を流し始めた年であり、社員の意識変化が業革チームから会社全体へと緩やかながらも波紋のように広げていきました。

また、短期インセンティブシステム等さまざまな仕組みも構築しました。 2年目は、仕組みの運用や社員の行動変化が顧客に成果を発揮し、売り上げ増大やコストリダクションにつながり、大きな財務的成果を実現できました。 3年目は、A社自力で業革運動を運用できるように人財育成や移譲を実施しました。

伸び悩みの企業では、自社の問題点を間違って認識している

A社の業革運動を振り返って見ると、伸び悩みの企業では、自社の問題点を間違って認識していることがほとんどです。
自社の常識を疑えとはよく言いますが、言うのは簡単ですが転職もなく外界を知らない人がいくら分析しても自社の非常識に気付くことは極めて困難です。

自社の非常識を発見するには異業種視点が必要なのです。 また社内のコンセンサスを得るにあたっても少数の改革派(若手中堅)と多数の保守派(年配)の組み合わせで議論すれば、改革派は数と年齢の論理で負けることは必至です。

リーダーシップがある外部が関与すれば数の問題ではなく正しい方向に意思決定される確率は飛躍的に高まります。

A社の経営者が賢明だったのは単独による社内改革は古参の役員達の抵抗勢力に潰されることを危惧し、最初から外部に依頼したことにあります。
日本人はペリーの黒船や日産のゴーン氏のように外圧がないと変われないDNAがあるのかも知れません。

参考までに弊社が用いたメソッドです。

メソッド・理論

  • 秘孔を突いたKPIマネジメント
  • 遊び感覚を伴う短期インセンティブシステム
  • 心技体ではなく体技心
  • 戦略メンバーを正しく選ぶ
  • 出すぎる杭は打たれない

計数変化

  • 営業マンの訪問件数 → 飛躍的に改善
  • 営業マン1人あたりの粗利益 → 2割程度改善
  • 経常利益率 → 社員の年収アップを実現した上で2%を達成

このような会社に最適

  • 業績が伸び悩みでマンネリ感がある
  • 自分(二代目経営者、経営企画室、社長の息子)だけでは会社を変革できないので、助っ人を借りようと思っている
著者・文責 (Author / Responsible for the text)

平松誠一 (Seiichi Hiramatsu)

NTTドコモ出身。在籍時は一貫して広告宣伝・マーケティングに携わる。 1996年NTTドコモを退社。独立後の現在、企業ブランディング支援会社の株式会社ベレネッツの代表取締役。
ドコモ時代は、その潤沢な広告予算で業界TOPを突き進むことができると思っていたところ、はるかに広告投資額の少ないNCC(新たに参入してきた携帯電話、ポケットベル業者)にボロ負けし、その結果から「これからの時代、ブランドの支持を得るには押し込むようなPUSH的戦術やマス媒体での広告戦術は効果なし」との認識を持つ。
以降はこれらの手法を反面教師とし、「引き寄せる」+「再現性のある」ブランディング+マーケティング事業に25年間以上携わっている。
重要なことは、ブランディングはロゴを作ったり、イメージチェンジをすることではなく、ターゲット層に刺さる認識を構築することだと考える。

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