近頃、「AIでコンテンツ作ろう!』「AI活用で簡単に画像ができる!」「生成AIで広告コピーが簡単に!」といったフレーズをよく目にします。AIツールの進化は確かに目覚ましく、マーケティング業務の効率化に大きな可能性を秘めています。もちろん当社ベレネッツでもリサーチ業務や、ブランディング時の第三者意見としてのレビューに多用しています。
しかし、ちょっと待ってください。この状況の中で考えるべき重要なポイントがあります。
AIは非常に強力な「道具」ですが、どんなに優れた道具を持っていても、目的地が定まっていなければその価値を最大限に発揮できません。高性能なGPSナビを手に入れても、「どこに行きたいのか」という目的地が入力されていなければ何の役にも立ちません。むしろ、適当に設定した目的地に向かって効率よく進んでしまうため、間違った方向に進む危険性すらあるのです。
例えば「ブランディング」とは、単にロゴやキャッチコピーを作ることではありません。それは企業が「何者であるか」「どのような価値を提供するのか(提供価値)」「どのように競合と差別化するのか」「そのブランドと取引することによってどんなベネフィット(体験価値)があるのか」という根本的な問いに答え、一貫した脚本を作り上げることです。この脚本があってこそ、すべてのブランディング・マーケティング活動が一貫した方向性を持ち、顧客の心に強く印象づけられるのです。
AIツールだけに頼ったマーケティングはどのような問題を引き起こすのでしょうか。ある製造業の例を考えてみましょう。この会社は生成AIを使って毎日SNSに投稿を始めました。確かに投稿数は増え、見た目も洗練されています。しかし、「なぜ自社製品が選ばれるべきなのか」という本質的な差別化ポイントが明確でないため、投稿内容は競合他社と大差ないものになってしまいました。結果として、フォロワー数は微増したものの、実際の問い合わせや売上には全く結びつかないという事態に陥ったのです。AIツールは頑張って走っていますが、その方向性が定まっていないため、ビジネスの成果には結びつかなかったのです。
正しいアプローチは、まずブランディングという「脚本」をしっかりと作り上げ、その脚本を実行するための道具としてAIを活用することです。例えば、「業界最高の耐久性と環境への配慮を両立させた製品」というブランドポジショニングが明確であれば、AIツールはその価値を伝えるための最適な言葉選びや、ターゲット顧客に響く表現の開発に力を発揮します。脚本があることで、AIの力を「正しい方向」に向けることができるのです。
実際、ブランディングを先行させてからAIマーケティングを導入した企業では大きな成果が出ています。ある製造業では、まず自社の「他社ではリーチすることのできない0.00以下の微細な調整ができる工作機械」というブランドストーリーを明確化しました。その上でAIツールを活用したコンテンツ制作を行ったところ、SNSでのエンゲージメント率が前年比3倍、問い合わせ数が2倍に増加したという事例があります。この企業の成功の秘訣は、AIに「何を語らせるか」という方向性がブランディングによって明確だったからこそ、AIの力を最大限に引き出せたのです。
AIの力を最大限に活かすためには、順序が重要です。まずはブランディング戦略(脚本)を構築し、競合との差別化ポイントを明確にします。次に、ターゲット顧客に響くメッセージを開発し、その上でAIツールを活用して効率的に実行するのです。「AIを使ってマーケティングしよう」ではなく、「戦略的なブランディングをAIの力で効果的に実行しよう」という順序で考えることが、真の成果につながります。
優れた俳優(AI)がいても、素晴らしい脚本(ブランディング)がなければ、観客(顧客)の心を動かす演技はできません。テクノロジーの導入に焦る前に、まずは自社ならではの説得力ある脚本を用意することから始めてみてはいかがでしょうか。そうすることで、AIの真価を発揮させ、効果的なマーケティング活動を展開できるのです。
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