今回は、経済波及効果の具体的な計算方法とその信頼性についてお伝えします。
経済波及効果の計算方法は?
経済波及効果の計算には、一般的に「産業関連表」というものを使います。
産業関連表というのは、産業間や産業と最終消費者間のモノとサービスの取引状況を1つの表にまとめたものです。
産業関連表についての詳細はコチラ↓↓
http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/data/io/index.htm
さて、計算方法の詳細を解説しようと思いましたが、おそろしく大変なことがわかったので計算ツールをご紹介します。
えぇ、経済波及効果を計算してくれるツールがあるのです!無料で!
総務省の以下のページからダウンロードできます。
http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/data/io/hakyu.htm
他にも自治体で経済波及効果を計算してくれるツールを作ってくれているところがあります。
例えば埼玉県↓↓
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0206/a152/bunseki-tool.html
こちらは東京都↓↓
http://www.toukei.metro.tokyo.jp/sanren/sr-tool.htm
これらのツールを使う前提として、仮定を設定しないといけませんが、これはさすがに自分でやる必要があります。
でも、これらのツールがあることで試算がだいぶ楽にできます。
計算方法の詳細がどうしても知りたい方はこちらを参考にしてみてください。
経済波及効果の信頼度は?
経済波及効果の金額は、試算した企業や団体によって異なっていることがほとんどです。
大きく金額が違うこともあります。
なぜ試算したところによって金額が変わるのでしょうか?
それは、経済波及効果はこれから起こることを「試算」しているという性格上、試算のための「仮定」をたくさん設定しなければならず、この「仮定」の設定によって試算した金額が大きく異なってくるためです。
例えば、東京オリンピック・パラリンピックの場合で考えると、「日本への訪問客数」や「訪問客一人当たりの宿泊期間」「訪問客一人当たりの宿泊単価」など、たくさんの仮定を設定して、それらの仮定を組み合わせて経済波及効果の試算を行います。
東京都が東京オリンピック・パラリンピックの経済波及効果を試算した内容がまとめられたものがあったので参考までに貼っておきます。
どれだけ設定する「仮定」を現実に近い「無理のない値」に するかによって信頼度が決まってきます。
とはいえ、仮定を設定するのはかなり難しいです。
専門にしている人でも仮定の設定を間違えることがあります。
よくある間違いは「生産額の二重計上」です。
最後に
実は経済波及効果だけを見ても、そのイベントが良いことなのか悪いことなのかはよくわかりません。
立場によってイベントのメリット度合は変わります。
東京オリンピック・パラリンピックの場合、建設会社などの民間企業としての立場と日本国としての立場、東京都としての立場ではメリット度合は変わります。
民間企業の場合は「利益がどれだけ上がったか」、日本国や東京都の場合は「かけた費用に対してイベントからの直接収入と税収がどれだけ上がったか」によってメリット度合が決まります。
今日はここまでにします。
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