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【要注意】自社だけで認知度向上に取り組むと失敗する理由とは?

多くの企業が直面している課題の一つが、自社の認知度向上です。良い商品やサービスを提供していても、それが潜在顧客に届いていなければ、ビジネスの成長は望めません。特に、昨今のデジタル化社会においては、オンラインでの存在感が非常に重要になってきています。

企業がオンラインで存在感を示すためには、SEO(検索エンジン最適化)やSNSマーケティング、インフルエンサーマーケティングなど、さまざまな手法を駆使する必要があります。SEOを適切に行うことで、自社のWebサイトを検索結果の上位に表示させ、多くのユーザーを呼び込むことができます。また、SNSを活用することで、自社の商品やサービスの魅力を直接消費者に伝え、ファンを増やすことができます。インフルエンサーとの協業により、影響力のある人物を通じて自社の魅力を発信することも、認知度向上には欠かせません。

しかし、これらのデジタルマーケティングの手法は日々進化しており、専門的な知識が求められます。そのため、自社だけですべてを行おうとすると、思うような結果が得られない可能性が高いのです。

多くの企業が陥る、自社での認知度向上の罠

ある企業の会議室で、経営者と社員の間で以下のような会話が交わされています。

最近の売上の伸び悩みについて、何か意見はないか?

正直に言うと、うちの商品やサービスの認知度が低いことが問題だと思います。営業活動をしていても、お客様に全く知られていないんです。見込み客を集めるためには、もっと多くの人に私たちの存在を知ってもらう必要があります。

そうなんです。せっかく良い商品を開発しても、認知度が低いために売れないんですよね。ライバル企業に負けてしまっているのが現状です。市場調査によると、私たちの主力商品の認知度は、競合他社と比べてかなり低いレベルにあります。

営業活動も空回りしている感じがします。訪問しても「御社は初めて聞きました」と言われることが多くて…。認知度不足が原因で、営業効率が悪いんです。見込み客のリストを作っても、肝心の企業からは「聞いたことがない会社だね」と相手にしてもらえないことが多いんです。

実は採用でも影響が出ています。優秀な人材を獲得しようとしても、会社の知名度が低いために応募者が集まらないんです。特に、新卒採用では、学生からの認知度が低いために、説明会への参加者が少ない状況です。

なるほど、認知度の低さが売上だけでなく、様々な部分に影響を及ぼしているのか…。営業、マーケティング、採用など、会社の活動全般に関わる問題だということがよくわかった。

だからこそ、認知度向上に本気で取り組む必要があると思うんです!認知度が上がれば、もっと多くのお客様に商品を知ってもらえるはずです。営業の効率も上がり、採用でも優秀な人材を獲得しやすくなるでしょう。

確かにその通りだ。では、認知度向上に向けて、具体的にどのような施策を打っていけばいいと思う?社内でアイデアを出し合ってみよう。

うーん、正直なところ、具体的にどんな施策が効果的なのかよくわからないですね…。今まで、展示会への出展や広告の出稿など、一般的な営業活動は行ってきましたが、認知度向上に直結するような施策は打てていません。

そうですよね。今までも色々と試してきましたが、なかなか認知度が上がらなかったですし…。新しいアプローチを考える必要がありそうです。

広告を出したり、イベントを開催したりするのも一つの手かもしれませんが、予算の問題もありますしね。限られたリソースの中で、最大限の効果を出すための施策を考えなければなりません。

確かに、認知度を上げるためにはある程度の投資も必要だろう。でも、何から手をつけていいのかわからないというのが正直なところだ。まずは、認知度向上に成功している他社の事例を調べてみるのはどうだろう。

インターネットを活用するのも一つの方法かもしれませんが、うまくいくかどうか…。SEOやSNSマーケティングは専門的な知識が必要そうで、自社だけでは手が出せない気がします。

自社の強みを活かしつつ、効果的に認知度を上げる方法を探さないといけませんね。他社にはない独自の商品力や技術力を、もっとアピールできる方法を考えてみましょう。

そうだな。認知度向上は喫緊の課題だ。まずは情報収集から始めて、全社で知恵を出し合おう。外部の力を借りることも視野に入れて、真剣に取り組んでいこう。費用対効果を考えながら、最適な方法を模索していくことが大切だ。

このように、自社の商品やサービスに自信があるからこそ、自社だけで認知度向上に取り組もうとする企業は少なくありません。しかし、それがかえって認知度向上の妨げになっているのです。社内の限られたリソースだけでは、最新のマーケティングトレンドに対応することが難しく、思うような結果が得られないことが多いのが実情です。

自分自身(自社のこと)を客観的に見ることは難しい

自社の強みや弱みを客観的に分析することは、なかなか難しいものです。社内にいると、自社の商品やサービスの魅力が当たり前のものに感じられ、それが特別なものだと気づきにくいものです。また、自社の課題点についても、業務に追われる中で見落としてしまうことがあります。

例えば、あなた自身のことを振り返ってみてください。

  • 自分の悪いクセや他人に迷惑をかけている行動に気づけていますか?
  • 無意識に使ってしまうフレーズや、会議での口調が他人に与える印象を把握できていますか?
  • 自分の良い面で、他人から評価されにくいポイントを理解できていますか?

自分自身のことでさえ、客観的に見ることは難しいものです。他人から指摘されて初めて気づくことも多いはずです。

ましてや、自社の商品やサービス、ブランドイメージとなると、なおさら客観的な評価が困難になります。社内の人間は、自社の商品やサービスに愛着を持っているがゆえに、その魅力を過大評価してしまう傾向があります。また、業界の常識にとらわれすぎて、新しい発想が生まれにくいということもあります。

そのため、社内の人間だけでは、自社の本当の強みや弱み、改善点を的確に把握することはできないのです。外部の視点を取り入れることで、自社の課題が明らかになり、効果的な打ち手を見出すことができます。

認知度向上に取り組む本当の目的を見失っていませんか?

そもそも、なぜ認知度向上が必要だと感じたのでしょうか?おそらく、売上アップや新規顧客の獲得など、何らかの問題解決のために認知度向上が重要だと考えたはずです。

例えば、新商品を開発したのに、思うように売上が伸びていないとします。その原因が、潜在顧客に商品の魅力が伝わっていないことだと分析されたなら、認知度向上に取り組む意義があります。認知度を高めることで、より多くの人に商品を知ってもらい、購買につなげることができるでしょう。

しかし、自社で認知度向上に取り組む場合、この本来の目的を見失いがちです。認知度向上のための施策に注力するあまり、肝心の商品やサービスの魅力を高めることを忘れてしまうのです。

例えば、大規模な広告キャンペーンを実施したとします。確かに、一時的には認知度は上がるかもしれません。しかし、商品自体の魅力が乏しければ、いくら認知度が高まっても、購買にはつながりません。むしろ、大々的に宣伝しただけに、商品への失望感が大きくなってしまう可能性もあります。

また、営業担当者が手を尽くし、様々な集客方法を試してきた中で、真の課題が別のところにあるかもしれません。例えば、商品やサービスの品質に問題があったり、価格設定が適切でなかったりする場合、認知度を上げても売上アップにはつながらないでしょう。

認知度向上に注力するあまり、本来取り組むべき課題から目を背けてしまっては本末転倒です。認知度向上は、あくまでも売上アップや顧客獲得のための手段であることを忘れてはいけません。

認知向上に失敗する理由を深掘り

企業が成長していく上で、自社の認知度を高めることは非常に重要な課題ですよね。でも、ここで多くの企業が陥りがちな罠があるんです。それは、自社だけの力で認知度向上に取り組むこと。今回は、私が尊敬してやまない日本の無印良品と、アメリカの革新的なカメラメーカーGoProの事例を交えながら、自社だけで認知度向上に取り組むと失敗する理由について、一緒に探っていきましょう。

無印良品は、1980年、西友ストアーズのプライベートブランドとして誕生しました。当時は、「商品の選択における追加価値の否定」をコンセプトに掲げ、シンプルで質の高い商品を低価格で提供するという画期的な取り組みが話題を呼びました。ところが、1990年代に入ると、バブル経済の崩壊によって消費者の価値観が大きく変化し、無印良品の売上は伸び悩んでしまったのです。高級志向から実用性重視へと消費者の嗜好が移り変わる中、無印良品の「シンプル&ロー」というコンセプトが、時代に合わなくなってきたんですね。

この危機的状況を打開するため、無印良品は認知度向上に向けて、様々な施策に乗り出しました。まずは、「質の高い商品を低価格で提供する」というコンセプトを再定義。バブル崩壊後の消費者の価値観に合わせ、「シンプル・質実剛健・環境に配慮する」という新たなコンセプトを打ち出したんです。さらに、「お客様にとって本当に必要なものは何か」を徹底的に追求し、無駄を削ぎ落とした商品開発を行うことで、無印良品らしさを鮮明にしたんですね。

また、日本国内だけでなく、海外にも積極的に店舗を展開しました。1991年、ロンドンに欧州1号店をオープンして以来、欧米やアジアを中心に出店を加速させたんです。おかげさまで、今では世界27の国と地域に展開し、海外売上高は全体の約4割を占めるまでになりました。すごいですよね!

他企業とのコラボレーションにも精力的に取り組みました。例えば、2001年には、アップルと共同で「MUJI CD PLAYER」を開発し、大きな話題を呼びました。また、2019年には、ホンダと協力して電気自動車「HONDA e」の内装デザインを手がけるなど、様々な企業とタッグを組んできました。こういった取り組みは、無印良品のブランドイメージを高めるのに大きく貢献したと思うんです。

SNSを活用したマーケティングにも注力しました。Facebook、Instagram、Twitterなど、SNSを フル活用してマーケティングを展開したんですね。例えば、Instagramでは「#無印良品」のハッシュタグを使ったユーザー投稿を奨励し、UGCの活用を図りました。加えて、SNSを通じて新商品の情報を積極的に発信し、新商品の認知度アップを図ったんです。SNSの力を最大限に活かすことで、より多くの人々に無印良品の魅力を伝えることができたのではないでしょうか。

無印良品の認知度向上施策で特に注目したいのは、コンセプトの再定義だと思うんです。バブル崩壊後の消費者の価値観の変化に合わせて、「シンプル・質実剛健・環境に配慮する」というコンセプトを打ち出したことで、時代に合ったブランドイメージを確立することができました。

また、海外展開においては、現地の文化や嗜好に合わせた商品開発を行うことで、各国の消費者に受け入れられるブランドになることができたんです。例えば、中国では、現地の生活スタイルに合わせた家具や家電製品を開発し、大きな人気を博しているんですよ。現地のニーズに真摯に向き合い、それに応える努力を惜しまなかったからこそ、無印良品は海外でも高い評価を得ることができたのだと思います。

一方、GoProは、2002年に設立されたアメリカのカメラメーカーです。創業者のニック・ウッドマン氏は、サーフィンやスキーなどのアクションスポーツを楽しむ中で、「自分の体験を手軽に撮影できるカメラがほしい」と考えたことがGoProを立ち上げるきっかけだったんです。

最初は、35mmフィルムを使った防水カメラを開発していましたが、2006年にデジタルカメラ市場に参入。2007年には、現在の主力商品である「HERO」シリーズの原型となる商品を発売したんですね。HEROシリーズは、小型・軽量・防水という特徴を備えており、アクションスポーツだけでなく、様々なシーンで活躍するカメラとして人気が出てきました。それに、GoProのカメラは操作が簡単で、誰でも手軽に高画質な動画を撮影できるため、プロのクリエイターからも支持されるようになったんです。GoProの製品は、ユーザーの心を掴んで離さない魅力があるんですよね。

GoProの認知度向上の取り組みで特に効果的だったのは、ユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用だと思います。GoProは、ユーザーが撮影した動画を自社のWebサイトやSNSで積極的に共有することで、GoProの製品の魅力を間接的にアピールしたんです。

GoProが実施した「Photo of the Day」キャンペーンは、その好例だと言えるでしょう。ユーザーが撮影した写真の中から毎日1枚を選んで公式サイトで紹介するこのキャンペーンは、ユーザーのモチベーションを大いに高めました。自分の写真がGoProに取り上げられることを目指して、ユーザーは創意工夫を凝らし、より魅力的な写真を撮ろうと頑張ったんです。こうした取り組みは、ユーザーの積極的な参加を促し、GoProとユーザーの距離を縮めるのに大きく貢献したと言えるでしょう。

さらに、GoProは自社のYouTubeチャンネルを開設し、ユーザーが撮影した動画を次々と公開していきました。スキーやサーフィン、バイクレースなど、アクションスポーツの臨場感あふれる映像が多数アップされ、GoProの製品の性能の高さを存分にアピールすることができたんです。GoProのカメラがなければ撮影できないような迫力満点の映像の数々は、人々の目を釘付けにし、GoProに対する憧れを呼び起こしたことでしょう。

こうしたUGCは、GoProの公式アカウントから発信されるだけでなく、ユーザー自身のSNSでもシェアされることで、より多くの人々の目に留まることになりました。その結果、GoProの認知度は一気に高まり、アクションカメラの代名詞として広く知られるようになったんです。ユーザーの力を巧みに活用したGoProのマーケティング戦略は、UGCのポテンシャルを最大限に引き出した成功例だと言えるでしょう。

GoProの事例で特に印象的なのは、UGCの活用が、単なる認知度向上にとどまらず、ブランドコミュニティの形成にも一役買ったことなんです。GoProユーザーは、自分たちが撮影した動画を共有し合うことで、GoProを中心としたコミュニティを築いていったんですね。このコミュニティでは、撮影テクニックの共有や、新商品に関する情報交換が活発に行われています。GoProユーザーは、単なる消費者ではなく、GoProのブランドを自ら発信するアンバサダー的な存在になっているんです。こういったコミュニティの存在は、GoProにとって何にも代えがたい財産だと思います。

それに、GoProは、UGCを活用したマーケティングを通じて、顧客との強い絆を築くことができました。GoProで撮影された動画には、ユーザー一人一人の思い出や体験が詰まっているんですよね。だからこそ、GoProは単なるカメラメーカーではなく、ユーザーの大切な思い出を共有するパートナーとしての地位を確立できたんだと思います。ユーザーとの絆を大切にする姿勢こそ、GoProの成功を支えた大きな要因なのではないでしょうか。

無印良品とGoProの事例から学べるのは、自社だけで認知度向上に取り組むのではなく、時代の変化に合わせてブランドコンセプトを再定義し、他社とのコラボレーションやSNSの活用など、多角的なアプローチを取ることの大切さだと思うんです。特にGoProの事例が示すように、UGCの力を最大限に活用し、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを重視することが、現代の認知度向上戦略には欠かせません。

自社の強みを活かしつつ、ユーザーの声に耳を傾け、彼らと一緒にブランドを盛り上げていく姿勢こそが、認知度向上の鍵を握っているのです。自社だけで認知度向上に取り組むのは、もう古い考え方なのかも。ユーザーと手を携えて、共に成長していくことが、これからの企業に求められているのではないでしょうか。

私たち一人一人が、無印良品やGoProの事例に学び、自社の認知度向上に活かしていくことが何より大切だと思うんです。自社の強みをもう一度見つめ直し、時代の変化に柔軟に対応しながら、ユーザーとの絆を大切にする。そういう姿勢を持つことが、これからの時代を勝ち抜くための鍵になるんじゃないでしょうか。

認知度向上は一朝一夕では実現しませんが、諦めないで挑戦し続けることが肝心ですよね。まずは、私たち自身の意識を変えることから始めてみませんか?一緒に頑張っていきましょう!

著者・文責 (Author / Responsible for the text)

平松誠一 (Seiichi Hiramatsu)

NTTドコモ出身。在籍時は一貫して広告宣伝・マーケティングに携わる。 1996年NTTドコモを退社。独立後の現在、企業ブランディング支援会社の株式会社ベレネッツの代表取締役。
ドコモ時代は、その潤沢な広告予算で業界TOPを突き進むことができると思っていたところ、はるかに広告投資額の少ないNCC(新たに参入してきた携帯電話、ポケットベル業者)にボロ負けし、その結果から「これからの時代、ブランドの支持を得るには押し込むようなPUSH的戦術やマス媒体での広告戦術は効果なし」との認識を持つ。
以降はこれらの手法を反面教師とし、「引き寄せる」+「再現性のある」ブランディング+マーケティング事業に25年間以上携わっている。
重要なことは、ブランディングはロゴを作ったり、イメージチェンジをすることではなく、ターゲット層に刺さる認識を構築することだと考える。

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