少し前に、「ピンチなう!」というサイトが立ち上げられ、サイト利用者から「人生の危機を感じた瞬間」をツイッターで募集していた。
空港で麻薬探知犬に懐かれて困った、BBQなのに箸を忘れた、公園で鳩に餌をあげていたら予想以上に集まって大変なことになった…など、日常で起こるピンチ、それも思わずクスっと笑ってしまいそうなエピソードが集められている。
そして面白いのが、投稿に写真撮影・株式・マーケティング・アウトドア・散歩・横浜…などの専門家が「アドバイス」として返信をしていることだ。これらはオールアバウトとの連携で行われている。
全体的にくだけた雰囲気が漂っているサイトだが、このサイトの狙いは広告主である「富士重工の衝突回避装置・アイサイト」の認知向上。最も優秀な「つぶやき」を投稿した人には、この富士重工からレガシィ・ツーリングワゴンなどの豪華賞品が贈呈される。
危機回避装置のキャンペーンだから、「人生の危機を感じた瞬間」のエピソード。
ピーアールしたいものと日常を結びつけ、ユーザーの関心を集めるといううまい導線が引かれている。
多くの人の目に触れたいがために「面白い投稿なんでも募集!」としてしまうと目的がブレてしまうし、よくある「衝突回避に関するエピソード募集」では投稿する側も身構えてしまう。衝突回避できなかったケースというのは、交通事故をダイレクトに連想させるからだ。楽しい話題ではないだろう。
しかし広く「ピンチ」を募集すると、案外に人は雄弁だ。
「死ぬかと思った」という本がシリーズを重ねていることから分かるように、人の失敗というものはリアルさゆえのおもしろさが詰まっている。
この面白さとは、「人の失敗を歓迎している」のではなく、自分にも起こった出来事を思い出して「あるある!」と「共感」できるからではないだろうか?
アメリカの発表ではツイッターの新規ユーザーは一日37万人。年末には2億人に迫る勢いだ。多くの人が参加することで、当然ビジネスのチャンス有りと利用を考える企業も増える。
しかしあまりにビジネス臭がすると、ツイッターでは瞬く間に「負のつぶやき」が広がり、揶揄されることになってしまう。それは売りたい・広めたいが専攻してユーザーを置き去りにしているからではないだろうか。
ツイッターでの販促のポイントは「ユーザーを楽しませる」「自社の品位を落とさない」「それらが相乗効果の関係にあること」だと思う。
そのポイントさえブレなければ、どんなに小さな会社・飲食店・個人商店でも販促を行うことができる。テレビや雑誌と違い、間に余計なマージンが入らないことから迅速な行動をとることもできる。さらにツイッターは無料だ。
「つぶやく」というシンプルさゆえに、アイデア次第で何乗にも強力なツールに化けるツイッター。そして自らもユーザーである。
まずは自分が何に楽しめるか?何を知りたいか?どうしたら嬉しいのか?を考えよう。大好きなあの人に、何をしたら喜んでもらえるのか考えよう。
ユーザーの気持ちを見つめたとき、打つべき販促の方法が見えてくる。