コラム

BtoB企業へのアドバイス:ポジショニングをおろそかにするな!

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多くのBtoB企業が、マーケティングの「初期設定」であるはずのポジショニングを軽視しがちです。あなたの会社も超普通のポジショニングにしていませんか?しかし、事業の成功にとって、ポジショニングは単なる「あれば良い要素」ではなく、「絶対に必要な土台」なのです。特にBtoB企業であればなおさらです。

ポジショニングはマーケティングの初期設定

ポジショニングとは、競合他社との明確な差別化を図り、顧客の心の中で特定の「位置」を占めることです。これは単なるキャッチフレーズやロゴの問題ではありません。企業や製品が市場でどのような立ち位置を取るか、顧客にどのような価値を提供するかという本質的な部分です。

ポジショニングの失敗がもたらす連鎖反応

ポジショニングで失敗すると、マーケティングとセールスで失敗します。マーケティングとセールスで失敗すると、ビジネス全体が失敗します。この連鎖反応は、多くの企業が陥る罠です。

英語しか話せない人に、どんなに大きな声でゆっくり日本語を話しても、何も伝わらないのと同じように、ポジショニングが曖昧で不明瞭な商品に、どんなに大量の予算をつぎ込んでマーケティングを行っても、何の効果もありません。

顧客と何度面談を重ねても、あなたの商品が何だか理解してもらえない、購入するかどうかを決断してもらえないという場合、それは販売プロセスではなく、ポジショニングに問題があるのです。

弱いポジショニングの影響

弱いポジショニングは、マーケティングとセールスの努力を台無しにします。それは向かい風であり、私たちを常に失速させ、ターゲットとする顧客に会うことさえも難しくします。

まるで腐った卵でオムレツを作るかのようで、料理の腕が完璧でも、誰もあなたの提供するものを食べたいとは思いません。最高のマーケティング戦術や熟練した営業チームがあっても、根本的なポジショニングが弱ければ、その効果は限定的です。

強いポジショニングの効果

一方、優れたポジショニングは、マーケティングとセールスの努力を後押しします。強いポジショニングは、ずるいことでもしているような感覚に陥らせるほど効果的です。自分たちが参入している市場の力に引っ張られ、マーケティングとセールスのすべてが簡単に行えるようになります。どちらを向いても、あなたには追い風が吹いているのです。

BtoB企業がポジショニングを強化するために

  1. 顧客の言葉で考える: ベレネッツの「T.R.U.S.T.理論」が示すように、顧客の視点に立ち、彼らが何を価値と感じるかを理解することが重要です。
  2. 「なぜなら」を明確に: 顧客が「なぜあなたの会社を選ぶべきか」を明確に説明できるようにしましょう。
  3. 差別化要素を見つける: 一見すると差別化要素がないように思えても、適切な「光の当て方」で独自性を見出すことができます。
  4. 知名度ではなく認知度を高める: 単に名前を知ってもらうのではなく、競合に比べた強みや選ばれる理由を認知してもらうことが重要です。
  5. 顧客の「体験価値」を設計する: 製品やサービスの機能だけでなく、顧客がそれを使うことで得られる「体験価値」を明確にしましょう。

ポジショニングの強化は、即効性のある施策ではありません。しかし、長期的な視点で見れば、BtoB企業の成功を左右する最も重要な要素の一つです。ポジショニングをおろそかにせず、自社の市場での立ち位置を明確に定義することで、マーケティングとセールスの効果を最大化し、ビジネス全体の成功につなげましょう。

間違ったBtoBポジショニングの典型例

BtoB企業のポジショニングは大事であることがわかっていただけたと思います。以下のような悪いポジショニングになっていたら、確実にライバルの中に「埋もれます」。競争にも「負けます」

1. 「我々は業界リーダーです」症候群

悪い例: 「弊社は20年の実績を持つ業界のリーダー企業です。最高品質のITソリューションを提供しています」

2. 機能リスト列挙型

悪い例: 「当社のERPシステムは、在庫管理、販売管理、財務管理、人事管理など多数の機能を備えており、クラウド対応で、AIも搭載しています」

3. 曖昧な価値提案

悪い例: 「私たちはお客様のビジネスを次のレベルに引き上げます」「効率化とコスト削減を実現します」

4. 自己中心的視点

悪い例: 「弊社は2000年の創業以来、独自の技術開発に取り組み、特許を20件取得しています。社員数は300人を超え、東京、大阪、名古屋に拠点があります」

5. 万能型ポジショニング

悪い例: 「あらゆる業界のあらゆる規模の企業に対応可能なコンサルティングサービスを提供します」

6. コモディティ化を受け入れている

悪い例: 「業界最安値のクラウドストレージサービスを提供します」

7. 業界用語の乱用

悪い例: 「当社のSaaSソリューションは、APIインテグレーション、マイクロサービスアーキテクチャ、ブロックチェーン技術を活用したエンタープライズグレードのセキュリティを実現しています」

ベレネッツがサポートします

上記の悪い例にピンときていたら、ベレネッツにお問い合わせください。競合優位性を持つ、企業ブランディング的に完成された唯一無二なポジショニングを作ります。

著者・文責 (Author / Responsible for the text)

平松誠一 (Seiichi Hiramatsu)

NTTドコモ出身。在籍時は一貫して広告宣伝・マーケティングに携わる。 1996年NTTドコモを退社。独立後の現在、企業ブランディング支援会社の株式会社ベレネッツの代表取締役。
ドコモ時代は、その潤沢な広告予算で業界TOPを突き進むことができると思っていたところ、はるかに広告投資額の少ないNCC(新たに参入してきた携帯電話、ポケットベル業者)にボロ負けし、その結果から「これからの時代、ブランドの支持を得るには押し込むようなPUSH的戦術やマス媒体での広告戦術は効果なし」との認識を持つ。
以降はこれらの手法を反面教師とし、「引き寄せる」+「再現性のある」ブランディング+マーケティング事業に25年間以上携わっている。
重要なことは、ブランディングはロゴを作ったり、イメージチェンジをすることではなく、ターゲット層に刺さる認識を構築することだと考える。

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