マーケティングの分野でよく使われる理論があります。
イノベーター理論です。
この理論は、マーケティング部門に限らず、セールス部門や商品開発部門の方々も知っておいて損はありません。
イノベーター理論とは?
いままでにない新しい商品やサービスが登場したときに、その商品やサービスが一般に広く普及するかどうかに関する理論です。
この理論では、消費者の商品・サービスの購入タイプを5つに分類しています。
ちなみに、この理論は、スタンフォード大学の社会学者であるエベレット・M・ロジャース教授が1962年に提唱したもので、50年以上支持され続けている理論です。
イノベーター理論における消費者5タイプ
①イノベーター
とにかく新しいもの好き! 新しいものが発売されたら、すぐに買って試したくなる層です。
②アーリーアダプター
イノベーターほどではないですが、常に情報収集を行っていて新しいものに対して関心が高く、購入にも積極的です。
この層は市場への影響力が大きいことから「オピニオンリーダー」と呼ばれています。
③アーリーマジョリティ
新しいものに関心はあるものの購入については積極的ではありません。
アーリーアダプターの意見を聞いてようやく購入検討をはじめる層です。
④レイトマジョリティ
この層は、新しいものには常に懐疑的です。まわりの人がみんなが購入して使っているところを確認して、ようやく購入を検討し始めます。
⑤ラガード
流行や世の中の動きに関心が薄い、というよりも自分の価値観が固まっているため、流行などに影響を受けず、必要ないと判断したものは何があっても購入しません。
いまでもガラケーを使っている人なんかはこの層に入ります。
イノベーター理論の肝
この理論の肝は、新しい商品・サービスが市場に普及するかどうかは、②アーリーアダプターに普及させることができるかどうかにかかっているというところです。
この理論では、①イノベーターと②アーリーアダプターを合せるとだいたい消費者全体の16%(①2.5%②13.5%)となって、消費者の16%を超えると新商品・新サービスの普及が一気に進むと提唱しています。
このため、マーケティングの担当者はアーリーアダプター層に対していかに新しい商品・サービスを購入してもらうかの施策を様々検討しています。
その後のイノベーター理論
実は、イノベーター理論には続きがあります。
ハイテク製品には、イノベーター理論が通用しないという理論が出てきたのです。
ハイテク製品の場合は、アーリーアダプターとアーリーマジョリティとの間に大きな溝(キャズム)があって、この溝を超えないと市場の普及は見込めないというもので、③アーリーマジョリティに対するマーケティングも必要という「キャズム理論」が提唱されました。
ジェフリー・A・ムーアという人が提唱したのですが、こちらはずばり「キャズム」という本で大ベストセラーになりました。
1991年なので四半世紀以上前ですが、いまでもこの理論は影響力を持っています。
今日はここまでにします。