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中小・中堅企業経営のヒント_時代の風に乗るには・・

投稿日:2018-07-27 更新日:

from ブランディングチーム エグゼクティブディレクター 奥村浩

 

風には、“追い風”、“無風”、“逆風”の3つがあります。

ビジネスにおいて、時代という追い風にうまく早めに乗ることが極めて大切です。

 

自転車に乗るとよくわかるのですが、追い風は楽であり早いスピードが出せます。

しかし逆風では、一生懸命にペダルを漕いでも、なかなか前に進みません。

 

時代という追い風に乗るにはどうすればよいのか?について、数多くの経営改善に携わってきた私の経験を基に、事例を挙げてお話します。

 

以前、私はガソリンスタンド(GS)事業を中核とした売上高10億円規模の経営改善に携わりました。

業界を分析してみるとGS事業の個々の店舗の大半は赤字であり、どんどん店舗数が減っており、明るい話は何ひとつありませんでした。

GS業界における逆風は、“ハイブリッドカーによる燃費の劇的向上”、“自動車への関心低下”、“高齢化社会”の3つであり、例えると風速30メール級の大きさでした。

私は当時、二代目プリウスを乗っており、給油のためにGSに寄ったところ燃費を店員に尋ねられて、“リッター23kmぐらい走ります”と話したら、“ハイブリッドカーが普及したらGSは潰れる”と嘆かれた記憶があります。

ハイブリッドカーにしたら燃費がこれまでのガソリンカーの二倍になったのですから、ガソリン需要が激減していくのは明らかでした。

 

この状況の中、経営改善の戦略と言っても、逆風がすごいだけに革新的な戦略などあるわけもなく、地道に戦術や作戦を確実に高速に実施するしかありません。

幸い、経営改善のほうは、業務改革運動の徹底によって赤字は縮小していき、最後は多少の黒字化を実現しました。

社員の熱意・執念・努力は半端ではなく、私は経営会議で目頭が熱くなることもしばしばありました。

また社長も極めて誠実で真面目な人でした。

この企業は同族会社で、社長はこれまで、親から受け継いだGS事業を守り通すことが自分のミッションを思っていたのを、経営改善を進めていく中で、GS事業から撤退しても構わないと決断しました。

その後、経営方針をガラリと転換し、今まで副業としての扱いだったFC業をコア事業と位置づけ、GSは社員が定年になり次第、順次閉店していくことにしました。

 

数年後、この会社の経常利益率は5%を超えるまでに劇的に改善しました。

GS事業から撤退する決断を行った際に社長が私に語った一言が今でも忘れられません。

 

社員が100%の力を出し切っても儲からないということは、やってはいけないビジネスなんだ。

 

この事例から学ぶことは、

①親から受け継いだ事業を同じままで守り通すことは、逆風のなかの自転車漕ぎと同じであり、経営者や社員の努力は残念ながら報われないことが多い。

②時代という追い風に乗れるように事業転換を怠らない。

 

ところで日本の企業の7割程度が赤字である言われています。

そのなかで、2期以上連続低収益の企業を膨大な実例から私なりに分析すると以下の2つの特長があります。

A 時代に合っていないビジネスをやっている。

B 経営マネジメントに難がある。

 

経営マネジメントについては別の機会に譲るとして、何故、時代に合っていないビジネスをやっているのかをさらに分析してみると

要因1 先代の事業領域を守り通すことが事業承継と堅く考えすぎている。あるいは変える勇気が無い。

要因2 新しい時代の風を感じる外部人脈を持っていない。内向き志向の人脈が多い。

 

追い風に乗るには、そもそも何が追い風であるかを知る必要があります。

確かに本を読んだり、ネットで調べるとそれなりのことは分かります。

しかし、これらの情報にアクセスするだけでは、“知っている”だけのレベルであり、自分の行動を変革させるまでには至らないことが多いのです。

 

重要なのは“良質な人脈”とのダイレクトコミュニケーションです。

ただし、ゼロコスト・ゼロ時間でコミュニケーションすることは不可能であり、生き銭も必要でしょう。

“良質な人脈”とは、次のような人です。

◆儲かっている、成長している組織のキーマン

◆自分に無い考え方・価値観・知恵を持っている

◆いつも元気で明るい

 

良質な人脈とダイレクトにコミュニケーションすることで、そこに「新しい風」を感じて、自分のなかに化学反応が起こります。

 

ずっと会社の中に居たり、遊ぶことなく仕事一筋(営業系除く)の人は「風」を感じることが困難になっている可能性があります。

“良質な人脈”とダイレクトにコミュニケーションするためには、まずは、“良質な人脈”を形成する必要があります。

 

3つの方法をご紹介します。

1.意識が高い人が集まるところに顔を出す(会合、セミナー、勉強会、OB会)。

2.会社から自宅に直行するのではなく、たまにはお酒絡みで寄り道してから帰る。

3.会社組織を完全に内製化しないで、外部パートナーと連携し、高い専門性を必要な時にリソースを使う仮想組織とする。

 

ご紹介した3つの方法については、ぜひ実践してみてください。

 

言い忘れ忘れましたが、逆風でビジネスをやっている会社の経営陣や社員がよく言うセリフがあります。

“我々は、真面目にコツコツと頑張っている。お客様はそれを分かっている筈だ!”

ところがお客様のほうではそうではなく“あちらは旧態依然とした会社である。仕方なく使っているだけ”が多いのです。

ビジネスにおいても、日本人は“真面目”を勘違いしていることが多いと思います。

 

整理してみますと、時代という追い風に乗るために必要なこと、それは・・・

 

◆良質な外部人脈を持つ ただし時間とお金は必要

◆事業領域(ドメイン)は大雑把で適当に考え、ころりと変える

◆先代の事業を(細かいところまで)守り通すことは茨の道を歩むと覚悟すべし

 

です。

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