今日はBtoB事業におけるNDAについてお話ししたいと思います。
BtoB事業において、コンサルティング企業やマーケティング企業は、顧客企業の「新規事業立ち上げプロジェクト、事業拡大プロジェクト」を支援する際に、
顧客企業との間でNDA(秘密保持契約)を結ぶ場面が少なからずあります。
NDAはくせ者で、顧客企業からすると、安全面を考えて、本当はNDAに入れる必要がない事項までNDAの範囲に入れてしまいがちです。
コンサルティング企業、マーケティング企業は活動に制約がかかるため、NDAを結ぶ前にはその範囲について確認と交渉をする必要があります。
はっきりいえば、「NDAの範囲をできる限り狭くする」必要があります。
なぜでしょう?
新規事業や事業拡大プロジェクトのミッション
BtoB事業に限らないことですが、新規事業立ち上げプロジェクトや事業拡大プロジェクトは、基本的には今ある商品・サービスの売上拡大がミッションではありません。
開発中/リニューアル中/開発やリニューアルの検討を始める/開発やリニューアルの検討中の商品やサービスの「プレマーケティング」を行い、
その結果に基づいて、予算をどの程度つけて、どの部署で誰が担当し、どのように販売し、バックアップ体制をどのように構築し、どこの企業と協業するのか、
売り上げ目標をどうするかといった諸々について本格検討を始めるための支援を行い、顧客企業が適切な判断を下せるようにすることがミッションです。
立ち上げ(事業開始)までに2~3年はかけます。
以下のような流れです。
プレマーケティング1年⇒本格検討1~2年⇒事業開始
※ちなみに、ここでのプレマーケティングとは、「実際に商品・サービスを発売する前に、限定した地域や顧客候補に開発中/発売検討中の商品・サービスを提供して意見をもらい、その意見をもとに改善点を見出すまでの一連の活動」のことと定義します。
情報をとにかく隠したい顧客企業
このとき、プレマーケティングを「匿名(つまり社名を隠して)」で行いたいという顧客企業が少なからずあります。
それだけでなく、「○○を検討していることも隠したい」とおっしゃる顧客企業も少なからずあります。
そして、これらをNDAの中に含めてしまうとうケースがあります。
「社名を隠して」「検討していることも隠して」プレマーケティングを行っても、本当の情報はとれません。
アプローチを受ける側からすれば、「情報を取られるだけ」と思われてしまうため、本音の声がきけないからです。
本当の情報ではない情報でさまざまな事を検討しても・・・結果は見えています。
もっと大事なことは、いくら隠そうとしても「隠せない」ということです。
本来の目的を見失わないこと
BtoB事業においては、アプローチする人や企業の数が多くなればなるほど、社名や検討事項について漏れる確率は高くなります。
というか、察しのよい企業は、どこがプレマーケティングをやっているのか分かります。
そしてすぐに業界に広まります。当たり前です。
隠しても無駄なのに隠して、本来の目的である質のよい情報を獲得することができないのでは、プレマーケティングの意味がなくなってしまいます。
もちろん、技術やビジネスモデルの部分でNDAが必要なところはあります。
しかし、NDAで隠しても無駄なことが入っていないかどうか精査することも必要なのです。
新規事業立ち上げ、事業拡大のために必要な情報を得るという目的を達成するために必要なこととな何か?を頭に入れて、NDAの範囲を決定することが重要です。
今日はここまでにします。