先日ある企業支援を専門する会社の方とお話ししました。
その会社には多くの有名企業出身者(特に経営陣の経験のある方)が多く在籍しています。
その元経営陣に企業紹介をお願いすると、有料でドアオープナーしてくれる、というサービスをやっています。
つまり、非常にリーチの難しい有名企業に「元役員、元社長」案件として、これから営業したい企業の門戸を開いてくれる、というものです。
営業代行というか、このようなサービスって、うちの会社は絶対にお願いしないタイプのサービスです。
「何とか会ってくれませんか」ということで元重役の力を借りて、企業にアクセスするという行為は「自社の魅力で見込み客を惹きつける・引き寄せる」というブランディング戦略とは真逆だからです。
何も突っ張っているわけではありません。
ブランディングがうまく成立すると、本当に「普段リーチできない大企業」がこちら側のドアをノックします。
本当にあった話ですが、東証プライム上場の誰でも知っている企業の役職者は弊社に突然アポなしご訪問されました。
弊社のページをご覧になって、「この会社(弊社のこと)こそ自社の問題解決ができる」と納得した、という経緯をお話になり、結果的にその後のやりとりの後契約となりました。
これがブランディングの「引き寄せ」です。
ターゲット層自らが共感し、納得し、腹落ちし、体験価値を感じ、こちらに向かってくる。
こんな楽しいことないですよね。
さてさて、上記のサービスにある特定の会社が殺到しているというのです。
どんな会社だと思いますか?
大手企業との長期取引を狙った部品メーカー?
大手企業との取引をしたい人材派遣会社?
大手企業となかなか口座が開けない中小企業?
いえいえ、資金潤沢な会社です。
VCから結構な投資を受けたIT企業だそうです。
え?
え?
しかも、投資を受けた後でも、事業計画遂行する中で新規案件獲得のため、担当者一人あたり100件のテレアポを課していて、結果的に1〜2件しか毎日繋がらず、何とか企業に食い込みたい、ということで「役員からの紹介サービス」に頼るそうです。
VCから投資が受けられるようなビジネスモデル、魅力があるなら、アウトバウンドコールはないだろう、という話です。
私も何度もベンチャー企業経営者と投資プレゼンの現場に同行したことがありますが、彼らは、魅力的なビジネスモデルや、社長のパーソナリティを総合して投資するのです。
つまり何らかの「体験価値」にピンときているのです。
そんな武器がありながら、元役員にすがって営業開拓っておかしいですよね。
まずやるべきことは、投資を受けることができるようなビジネスのネタ(提供価値)を見込み客向けに「見える化」することです。
それがブランディング、と言うものです。