from ブランディングチーム エグゼクティブディレクター 奥村浩
大阪城公園のたこ焼き売店が1億3000万円の脱税で国税局が告発したニュースが7月下旬にありました。
過去3年間でなんと3.3億円の所得があり、無申告であったようです。
72才という年齢を考えれば、創業から無申告だったのかも知れません。
脱税そのものは国民の義務に反することでもあり、とんでもないことなのですが、脱税以外については経営のヒントになることがあるニュースでした。
商売は、たこ焼きがメインであり、8個600円という普通のたこ焼き屋さんです。
最近はインバウンド需要にのって顧客の大半は外国人であり年商は2億円を超えていたようです。しかも利益は、ほとんど貯金に回していたようです。
たこ焼きそのものは、どこにでもあり、誰にもできる商売なのですが、どうしてこんなに驚異的に儲かったのでしょうか?
私なりに成功要因を因数分解してみると、
その9割は“大阪城公園という場所を確保できたこと”です。
残り1割は、インバウンド客向けに、“立って食べられる。派手な色のかき氷”のようなサービス・イノベーションです。
どうやって大阪城公園に出店できたかは不明ですが、それが実現出来たからこそ永らく商売を継続し、インバウンド需要にも乗れたのです。
脱税以外においては、出店から正のスパイラルです。
すなわち成功したのは“場所がすべて”なのです。
私はこのニュースを読んで、アメリカの不動産屋の経営者(当時)が書いた本を思い出しました。
その経営者は、不動産ビジネスにおいて最も重要なことはロケーション(立地)であり、二番目もロケーションであり、三番目もやはりロケーションであると語っていました。
要は“すべてはロケーションであり、魅力が無いロケーションは安くても買ってはダメ、高くても魅力がそれ以上にあれば買うべし”ということが強く記憶に残っています。
ソフトバンクの孫社長の投資哲学に似たところがあります。
さて、この経営者は誰でしょうか?
そう、現在のアメリカ大統領、ドナルド・トランプ氏です。
常識的に考えると家賃は安いほうが良いに決まっています。
しかしこれが常識の罠であり、家賃が安すぎるところは場所のブランド力も弱く、集客も困難でしょうし、高いものは売れないでしょう。安かろう悪かろうの世界が待っています。
重要なのは場所のブランド力を見極めることですが、それを見極めるのは非常に難しく、天性というか芸術の世界であり、数割が運かとも思います。
BtoC型で高めの価格帯を扱うビジネスモデルでは、このトランプ理論は強くあてはまります。
実は、ネットビジネスにもトランプ理論は当てはまります。
ネットビジネスは物理的な場所は関係ないと考える方もいるでしょう。
しかし、ネットでの検索されやすさ、居心地の良さ、分かりやすさ、高級感といったものは場所に近い概念です。
ネットビジネスにおいて、「検索性、操作性、デザイン性」の良いサイトを構築することは、最高の場所を手に入れることと同じ意味なのです。
トランプ理論はネットビジネスの世界においても活きています。