
知名度は名前が知られる「広さ」、認知度は中身まで伝わる「深さ」。優先すべきは認知度です。
知名度と認知度の違いとは?
結論から言えば、知名度とは「社名やブランド名を知っている人がどれだけ広くいるか」という認識の広さであり、認知度とは「何の会社か・何が強みか・どんな価値を提供するのかまで、どれだけ深く理解されているか」という認識の深さです。同じ「知られている」でも、質がまったく違います。
身近な例で考えてみてください。社名は聞いたことがあるけれど、何をしている会社かは知らない——これは知名度だけがある状態です。一方、「あの分野の課題なら、あの会社に相談すればいい」と具体的な理由とセットで想起される——これが認知度のある状態です。営業・購買の場面で選ばれる理由になるのは、後者だけです。
2つの違いを一覧で整理すると、次のようになります。
| 観点 | 知名度 | 認知度 |
| 定義 | 名前を知られている「広さ」 | 中身まで理解されている「深さ」 |
| 顧客の頭の中 | 「聞いたことがある」 | 「この課題ならこの会社」 |
| 主な測り方 | 指名検索数、社名の想起率 | アンケートでの内容理解、商談での認識ヒアリング |
| 上がりやすい手段 | 広告・マス露出などの反復接触 | 価値の言語化と一貫した情報発信 |
| ビジネスへの効き方 | 安心感・入口をつくる | 比較検討で選ばれる理由をつくる |
| 単独で放置すると | 「名前だけの会社」で終わる | 知る人ぞ知る存在にとどまる |
なぜ2つは混同されやすいのか?

結論:どちらも「知ってもらう」活動に見え、施策の見た目が同じだからです。広告もSNSもプレスリリースも、知名度と認知度のどちらの目的にも使えます。違いは施策の種類ではなく、届ける中身にあります。
社名を連呼する広告は知名度の装置であり、「何がすごい会社か」を伝える発信は認知度の装置です。同じテレビCMでも、載せるメッセージ次第でどちらにも転びます。この構造が見えていないと、「露出を増やしたのに問い合わせが増えない」という空回りが起きます。混同の代償は、次の実例が示すとおり決して小さくありません。
実例:知名度はあるのに、売れない会社

結論:知名度と認知度の違いを最もよく物語るのが、当社の顧客のある製造業の会社です。年間5億円を超えるテレビCMを打ち、知名度は確かに上がりました。しかしビジネスは変わりませんでした。
同社は広告代理店に言われるまま有名タレントを起用し、CMを大量に放映しました。結果、社名は広く知られるようになりましたが、営業面での変化は何も感じられず、顧客からは「お金ありますねぇ。値上げはしないでくださいね」と釘を刺される始末でした。唯一の効果は、求職者への認知向上が若干あった程度です。名前という「広さ」は買えたが、選ばれる理由という「深さ」は1ミリも作れなかった——知名度と認知度が別物であることの、生きた証拠です。
私自身にも同じ経験があります。NTTドコモで広告宣伝を担当していた時代、当社の知名度は圧倒的で、知らない人はいない状態でした。それでも、広告投資額でははるかに少ないNCC(新規参入事業者)にシェアをどんどん奪われました。知名度で勝っていたのに、「選ぶ理由」の勝負で負けていたのです。 逆の例もあります。当社が支援したある建材メーカーは、大手の「同等な割安品」としか見られていませんでしたが、価格以外の差別化要素を5つ言語化して発信したところ、値段で競わなくてよい状態に転じました。社名の露出を増やしたのではありません。「何の会社か」という認識の中身——認知度——を変えたのです。
どちらを優先すべきか?

結論:認知度が先です。理由は2つあります。
第一に、順序を逆にするとお金が消えるからです。認知度の中身(何で知られるか)が設計されていない状態で知名度に投資すると、5億円のCMの実例のように「名前だけの会社」を大量生産して終わります。逆に、中身が言語化されていれば、小さな露出でも「〇〇の会社」という認識が積み上がります。
第二に、認知度は知名度を引っ張るからです。750社超の支援で確認してきたことですが、製品・サービスの提供価値が支持されてくると、「納得したうえで」社名を覚える人が増え、指名検索が伸びて、結果として知名度も後から上がっていきます。人は電動ドリルが欲しいのではなく、穴を開けたいからドリルを買う——見込み客が探しているのは社名ではなくベネフィットであり、ベネフィットと社名がセットで記憶されたとき、初めて知名度がビジネスの資産になるのです。
つまり優先順位は、①選ばれる理由の言語化(認知度の中身づくり)→②その中身を乗せた一貫発信→③結果として広がる知名度、の順です。知名度を上げる10ステップの前半が「脚本づくり」に割かれているのは、この順序のためです。
認知度を優先する場合、何から始めればよい?
結論:まず「自社は何で知られるべきか」を一文で言えるかを確認してください。言えなければ、露出の予算を組む前に、競合が言えない差別化要素の言語化から始めるべきサインです。
進め方は3段階です。①社内の暗黙知を掘り起こし、価格以外の強みを顧客に伝わる言葉にする。②その言葉を、サイト・コンテンツ・商談資料・SNSのすべてで一貫して発信する。③指名検索数とアンケートで、広さ(知名度)と深さ(認知度)の両方を月次で測る。全体の手順は、こちらの記事の10ステップと施策カタログで詳しく解説しています。
知名度と認知度、それぞれどう測ればよい?

結論:知名度は「指名検索数」、認知度は「アンケートやヒアリングでの中身の理解度」で測ります。測る対象が広さと深さで違うため、指標も分ける必要があります。
知名度は、社名・サービス名で検索される回数(指名検索数)を無料ツールで定点観測するのが最も実務的です。名前がどれだけ想起されているか、つまり広さがそのまま数字に表れます。一方、認知度は数だけでは測れません。既存顧客・見込み客へのアンケートで「当社をどんな会社だと認識していますか」と中身を聞く、商談の冒頭で相手の認識を確認する、といった深さの調査が必要です。
2つを月次で並行して記録すると、自社の状態が診断できます。指名検索は多いのに認識の中身が薄ければ「名前だけの会社」に近づいている警告であり、認識は深いのに検索が少なければ「知る人ぞ知る存在」で、露出を広げる好機です。測定の全体設計は、ピラー記事の効果測定セクションとKPIの解説記事で詳しく紹介しています。
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まとめ:違いを理解したら、次に何をするか?
結論:知名度は「広さ」、認知度は「深さ」であり、投資の順序は深さが先です。名前だけが知られても、選ばれる理由がなければビジネスは変わりません。逆に、深さが作れれば、広さは後からついてきます。まず自社の「何で知られるべきか」の言語化に着手し、全体の進め方はピラー記事で確認してください。自社の認知度の中身づくりにお悩みの場合は、株式会社ベレネッツへお気軽にご相談ください。
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FAQ(知名度・認知度に関するよくある質問)

Q. 知名度だけを上げるのは意味がないのですか?
A. 結論:無意味ではありませんが、単独では売上につながりにくい投資です。年間5億円のCMで知名度だけを上げた企業でも、営業面の変化はありませんでした。認知度の中身とセットで設計して初めて、知名度は資産になります。
Q. 認知度はどうやって上げればよいですか?
A. 結論:競合が言えない自社の差別化要素を言語化し、サイト・コンテンツ・商談・SNSで一貫して発信することです。露出量ではなく、届ける中身の設計が認知度を決めます。
Q.BtoB企業では、知名度と認知度のどちらが重要ですか?
A.結論:認知度です。BtoBはターゲットが限られ、複数の意思決定者が「選ぶ理由」を吟味して比較するため、広い知名度より「この課題ならこの会社」という深い認識が受注を左右します。
Q. 知名度と認知度は同時に上げられますか?
A. 結論:可能です。ただし順序があります。先に認知度の中身(何で知られるか)を言語化し、それを乗せて露出を広げれば、1つの発信で広さと深さを同時に積み上げられます。中身のないまま露出だけ広げるのが最も非効率です。







