
効きます。競争優位性の言語化は、顧客だけでなく求職者の「働きたい」という認識も生みます。
採用・人材獲得にブランディングは効くのか?
結論から言えば、効きます。理由はシンプルで、求職者も顧客と同じ「選ぶ側」だからです。顧客が相見積もりで会社を比較するように、求職者は求人票と企業サイトを並べて会社を比較します。そこで「この会社ならでは」の理由が伝わらなければ、比較軸は給与や勤務条件だけになります。
これは、営業の現場で価格でしか比較されない構造とまったく同じです。条件でしか選ばれない採用は、条件でしか選ばれない受注と同じく、より良い条件を出す競合が現れた瞬間に負けます。逆に言えば、顧客向けに行う「選ばれる理由の言語化」は、翻訳の仕方を変えるだけで、そのまま採用にも効くのです。
なぜ「求人を出しても人が集まらない」のか?

結論:会社の魅力が無いのではなく、求職者に伝わる形で言語化されていないからです。
BtoB企業は一般消費者との接点が少なく、優れた技術や事業を持っていても、求職者からは「何をしている会社か分からない」状態になりがちです。
求職者の立場で考えてみてください。求人票に並ぶのは、事業内容・給与・休日・福利厚生。どの会社も同じ項目で書かれています。ここに「この会社で働く理由」が書かれていなければ、判断材料は条件の比較だけです。知名度のあるBtoC企業や大手と条件で競えば、中小BtoB企業は不利になります。
なお、知名度を広告で上げる方法もありますが、限界があります。当社の顧客のある製造業の会社は、年間5億円を超えるテレビCMを打ちましたが、営業面での変化は感じられず、求職者への認知向上に若干の効果があった程度でした。認知(社名を知っている)と、選ばれる理由(この会社で働きたい)は別物なのです。広告で名前を届けても、働きたい理由まで届けられるわけではありません。
実例:ブランディングで人材獲得が変わった食品製造メーカー

結論:ある食品製造メーカーは、競争優位性を言語化して発信したことで、苦戦していた人材獲得が大幅に改善しました。採用のために採用施策を増やしたのではなく、会社の選ばれる理由を言語化したことが、採用に波及したのです。
同社は当初、「見た目がいい感じの」ホームページ・求人サイト・ロゴリニューアルを行っていました。見た目は整いましたが、社内からは「何が変わったの?」と言われる状態で、見込み客にも求職者にも、選ばれる理由は届いていませんでした。もちろん、営業の現場では名刺や営業資料のデザインが変わったくらいで「無駄遣い!」という声もあったほどです。
ベレネッツがブランディングで入って行ったのは、製品そのものだけでなく、企業自体の競争優位性や製法などバックグラウンドの強みまで言語化することでした。「何を作っている会社か」ではなく「なぜこの会社の製品が選ばれるのか」が語れるようになると、その言葉は求職者にも届き始めます。自分が働く会社の強みを一文で理解できることは、応募の後押しになるからです。結果として、苦戦していた人材獲得は大幅に改善しました。
採用に効かせるブランディングの進め方は?(3ステップ)

結論:顧客向けのブランディングと同じ「言語化」を起点に、求職者基準への翻訳と、採用チャネルでの一貫発信を加えます。採用専用に別のブランドを作る必要はありません。脚本(選ばれる理由)は一つで、顧客向けと求職者向けは上演の演出が違うだけです。
- 競争優位性を言語化する:製品・技術・製法・実績など、競合が言えない自社の強みを掘り起こして言葉にします。ここは顧客向けブランディングと完全に共通です。
- 求職者基準に翻訳する:その強みが働く側にとって何を意味するかに置き換えます(例:独自製法がある→他社では積めない技術経験が積める、海外でも選ばれる製品→自分の仕事が世界に届く)。
- 採用チャネルで一貫して発信する:求人票・採用ページ・面接での説明・社員の言葉が、同じ強みを同じストーリーで語る状態をつくります。求人票だけ立派で面接の説明と食い違うと、認識は定着しません。
特にステップ3で見落とされがちなのが、求職者の情報行動です。応募を検討する求職者は、求人票だけでなく企業サイト・SNS・検索結果を必ず確認します。さらにAI検索が普及した今は、「〇〇社はどんな会社?」とAIに聞かれる場面も増えていきます。
つまり、顧客向けに積み上げてきた発信——強みを言語化したコンテンツ、SNSでの情報提供、AIに引用される情報設計——は、求職者が会社を調べたときに目にする「採用の入口」としても機能するのです。営業のための発信と採用のための発信は、源流が同じであるだけでなく、露出する場所まで重なっています。
従業員への浸透(インナーブランディング)はなぜ重要か?

結論:採用は入社で終わらず、入社後の定着と活躍までがゴールだからです。従業員が自社の価値を理解し、社内に浸透することで、組織全体のブランド推進力が高まります。
言語化した強みが社内に浸透していると、3つの効果が生まれます。
第一に、面接で現場社員が語る言葉と会社の発信が一致し、求職者の信頼が高まります。
第二に、入社後の「思っていた会社と違う」というギャップが減り、定着につながります。
第三に、自社の価値を語れる社員は、知人への紹介(リファラル)でも自然に会社を語れるようになります。
外向きの発信と内向きの浸透は、同じ言語化を源流とする両輪なのです。逆に、社外向けの発信だけが先行して社内が置き去りになると、求職者が面接で感じる「温度差」がそのまま辞退や早期離職につながります。採用ブランディングの仕上げは、社内への浸透だと考えてください。
まとめ:何から始めればよいか?

結論:採用施策を増やす前に、まず「自社で働く理由を一文で言えるか」を確認してください。言えなければ、求人媒体への出稿を増やすより先に、競争優位性の言語化から始めるべきサインです。
食品製造メーカーの事例が示すとおり、選ばれる理由の言語化は、顧客への発信と採用の改善を同じ源流から生み出します。自社の強みの言語化にお悩みの場合は、ベレネッツにご相談ください。
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FAQ(BtoBブランディングに関するよくある質問)
Q. 採用のために、顧客向けとは別のブランディングを行うべきですか?
A. 結論:別に作る必要はありません。選ばれる理由(競争優位性)の言語化は一つで、顧客向けと求職者向けでは翻訳の仕方が違うだけです。別々に作るとメッセージが分裂し、どちらの認識も定着しにくくなります。
Q. 知名度のない中小企業でも、採用にブランディングは効きますか?
A. 結論:効きます。求職者が知りたいのは社名の有名さではなく「この会社で働く理由」です。競争優位性が言語化されていれば、知名度で勝る大手と条件勝負をせずに、理由で選ばれる採用ができます。
Q.採用への効果は、どの指標で測ればよいですか?
A.結論:応募数だけでなく、応募の質(自社の強みを理解した応募か)、内定承諾率、入社後の定着、リファラル(紹介)数まで含めて追います。認知→行動→成果の3層で設計する考え方は、効果測定の解説記事で詳しく紹介しています。
Q. 求人媒体への出稿と、ブランディングのどちらを先にすべきですか?
A. 結論:言語化が先です。働く理由が言語化されていない状態で出稿を増やしても、条件比較の土俵で埋もれます。媒体は「届ける手段」であり、届ける中身を先に用意することが費用対効果を左右します。







